2013年03月17日

「北のカナリアたち」

映画が原作を上回るものはほとんど無いと言われている。
湊かなえ『往復書簡』の「二十年後の宿題」が原作・原案である。
細かい設定がかなり異なっており最初は違和感を感じた。
しかし、完璧に原作を超え脚本家の那須真知子の力と思った。

そして阪本順治監督である。
阪本監督は2009年「闇の子供たち」の上映にあたり舞台挨拶で当館を訪れた。
監督は2日間十日町に滞在していただいたが、
物静かで哲学者的、そして映画に対する熱い思いを持つ素敵な方でした。
撮影は木村大作が北海道礼文島の極寒の自然を圧倒的な映像美で描いている。
特に利尻富士が見える小学校の場面は素晴らしい場所であった。

主演の吉永小百合は40歳の役と60歳の役を見事に演じきった。
奥行きのある演技が心を打つ。
共演者もすべていい。
特に全国3000人の中から選ばれた
天使の声を持つ6人の子役たちの演技と歌声には聞きほれた。
大人役の6人、森山未來、宮崎あおい、満島ひかり、
小池栄子、松田龍平、勝地涼。それぞれが20年前に抱えた傷を持つ。
詳しい物語の紹介は省くが、物語はミステリー仕立てで全体が緊張感で満ちていく。

モチーフになっている"歌を忘れたカナリアは〜"と歌われる「カナリア」や「カリンカ」
「この広い野原いっぱい」など子供たちの澄んだ歌声が心にしみる。

終盤では涙が止らないほどのフィナーレが用意されている。
客席では鼻をすする音ががあちらこちらから聞こえるほど。
とにかく話題満載の超お薦め映画です。




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posted by シネパラ at 19:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | 館長 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月07日

「館長が選ぶ2012年上映作品ベストテン」の発表

「十日町シネマパラダイス」が2012年に上映した全作品の中から、
館長が悩んで選んだベストテンを報告します。

2012年は、長編が62本、短編が12本で計74作品を上映しました。
長編映画では、邦画35本、洋画27本、計62本の上映です。
「越後妻里大地の芸術祭」への公式参加作品など、50日間レイトショーでの上映もあり、
ワンスクリーンをフル回転させました。
9月からはメジャー作品の上映も始まり、年間を通して幅広い映画が上映できました。
まだ一度も来て下さったことのない新しいお客様からもたくさん来ていただきました。
しかしコアの映画ファンの方からは「少し寂しい」とのご意見もいただ来ました。
これはワンスクリーンの限界ですね。

という事で以下をご覧ください。


「館長が選ぶ2012年十日町シネマパラダイス上映作品ベストテン」
   1位 アーティスト
   2位 別離
   3位 サラの鍵
   4位 少年と自転車
   5位 おおかみこどもの雨と雪
   6位 桐島、部活やめるってよ
   7位 ヒミズ
   8位 ひまわり
   9位 天地明察
   10位 マリリン7日間の恋
 特別選出 チェルノブイリハート

2013年は、すでに大作、話題作が目白押しです。
シネマパラダイスがいつも大勢のお客様で溢れているような、
そんな映画館でありますように願っています。



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posted by シネパラ at 21:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | 館長 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月03日

「かぞくのくに」

「かぞくのくに」はヤン・ヨンヒ監督の実体験を映画化したものである。

在日朝鮮人家族の兄ソンホは、
25年前16歳でひとり帰国事業で北朝鮮に渡ったのだ。
病気療養を目的で、3ヶ月の期限付きで帰国したのだ。
再会を心らか喜ぶ父と母。そして妹のリエは嬉しくてたまらない。
25年ぶりの家族での夕食なのに話が弾まない。
それもそのはずで、北朝鮮からの見張り役同志ヤンが、
ずっと監視しているのだ。
それでも母ははち切れんばかりの笑顔で迎え、
妹はつきまとい色々話しかけるが、ソンホは無口だ。

治療のため病院で検査を受けると、脳腫瘍で手術と治療で3ヶ月以上はかかると言われる。
そして仲の良かった仲間と25年ぶりの同級会をやるが、しんみりして盛り上がらない。
そこで歌われた「白いブランコ」が印象的だった。

ぎこちない中でも、ソンホは少しづつ家族との長い年月を取り戻し始めた。
そこに、理由のない突然の帰国命令。
知らせに驚くソンホと家族。
見張り役のヤン同志でさえも抵抗をするが叶うはずはない。
本国からの命令に従うだけだ。

ソンホは言う「あの国ではいつもそうなんだ!」
「一番いいのは、頭を思考停止にすることなんだ!」


これは日本で現在進行形の出来事だ。

映画はソンホと家族の心の変化を丁寧に描き出している。
常に諦めた表情でソンホを演じた井浦新、
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と最後まで諦めきれないリエの心情を表現した安藤サクラ、
哀しみを潜め温かく送り出す母親を演じた宮崎美子、
そして、見張り役を演じた「息ができない」で
監督と主演で高い評価を受けたヤン・イクチェン。
すべて秀逸で胸を打つ。

ヤン・ヨンヒ監督だから描けた衝撃の現実の映画である。
私たちはこうして何も考えなくても普通の暮らしができる。
そうでない国に住んでいる人たちの暮らしが幸せであって欲しいと願う。

そして、今も北朝鮮にいる拉致被害者に思いを馳せる。

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posted by シネパラ at 18:41 | Comment(2) | TrackBack(0) | 館長 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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