2015年02月15日

天才ドラン「トム・アット・ザ・ファーム」

プロローグからやられた!
枯れた畑をの中を走続ける車のシーンが続く。
遙か昔に良く聞いた曲がフランス語のアカベラで歌われる。
思い出せそうで思い出せないジレンマのなかで曲は終わり、
やがて車は大農家の入り口に着く。

この場面だけで、観客を引き込む手段が凄い。
グザヴィエ・ドランが監督と主演を務めている。弱冠26歳。

カナダ映画であるが、フランス語地域であるケベック衆の田舎が舞台である。
トムは、都会でゲイの恋人だったギョームの葬儀のため、彼の実家の田舎に向かう。
そこで出会う、兄フランシスと母親アガットとの不均衡な関係。
兄はサラという不在の人物を作り上げ、母親に信じ込ませていた。
トムはギョームとサラの友人という事で、サラについて語り母は喜んだ。

この映画のジャンルは「サイコ・スリラー」といい、
心理的な要素を積み重ねて恐怖感を感じさせる手法である。
伏線を張っていくが、観客が後でそれに少しずつ気がついて恐怖に駆られていくのである。
古くはヒチコックが用いてブームとなったものである。
いわゆるスリラー映画の怖さでなく、
人間の内面に潜む本質が怖いのである。

スリラー映画なので詳細は避けるが、
兄フランシスに支配されていくトム、また母親に支配されていくフランシス。
また、サラの役をさせられる女性もまた、呪縛され逃れられない中の恐怖。
とにかく、全く目を放せなく、呼吸するのも忘れてしまうくらい、
夢中にさせる映画です。
でも見ごたえがあり満足させてくれる逸品です。

館長




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2015年02月08日

「館長が選んだ2014年ベスト10」

シネパラの2014年上映作品数は、
日本映画 30作品、外国映画 20作品、計50作品でした。
その中から、私が勝手に選んだベストテンですがを発表します。

 1.もう一人の息子
 2. 夢は牛のお医者さん
 3. 小さいおうち
 4. チョコレート・ドーナツ
 5. アナと雪の女王
 6. ぼくたちの家族
 7. キューティー&ボクサー
 8. スタンリーのお弁当
 9. 郊遊<ピクニック>
 10. アバウト・タイム
(次点)マダム・イン・ニューヨーク

 どれも佳い作品で選ぶのがが大変でした。
 最後は自分の好みで選びました。
 2015年も皆さんから喜ばれる作品を上映したいと思っています。

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2015年01月10日

「夢は牛のお医者さん」が、キネ旬ベストテン文化映画部門で3位に!

オープン以来最高の動員数となった「夢は牛のお医者さん」が、
キネ旬文化映画ベストテン3位になりました。
舞台は十日町市(旧松代町)莇平小学校です。
学校で牛を飼うことによって生まれた少女の夢を、
26年間追い続けたドキュメンタリー作品です。
Tenyのチームと時田監督に心からおめでとうの言葉を贈りたいと思います。

この映画は全市内からはもとより、松代地区のほとんどの方々から来ていただきました。
また各小中学校が鑑賞事業として取り入れてくれました。
それに呼応するかのように、
鑑賞した子供たちが新たな夢を見つけ始めました。
送っていただいた数々の作文が当館の宝物となっています。
またご老人達も「遠くにいるの孫に観せたい」など、
また「もし自分が子供の時この映画に出会っていたら人生が変わっていたかも知れない」
などとおっしゃる方もおりました。

大きな希望と夢を与えてくれたこの作品に心から感謝いたします。
館長




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2015年01月04日

あけましておめでとうございます

今年も「十日町シネマパラダイス」をよろしくお願いいたします。
昨年暮れには、7周年記念イベントを開催し大好評のうちに終わりました。

10年前の中越地震で損壊し亡くなった映画館。
町はやがて復興してきましたが、
子供の頃から映画を見続けてきた自分にとって、
映画館のない世界は耐え切れない思いでした。

あるとき往復3時間かけて映画を観に行きました。
こんなに映画が勇気づけてくれてるものとは思っていませんでした。
震災後元気を無くした市民も同じ思いをしているに違いないと強く思い、
映画館建設に踏み切りました。

その間、東京在住の長男と賛同した彼の友人が、
渋谷の「ユーロスペース」に開館準備に向けて修行に。
国・県・市からの支援も無い中でしたが、
家族からの協力と多大の借入金によりようやくオープンできました。
すでに地震から3年経っていました。

会社経営の経験はあっても、
映画館などまったく経験なく始めたわけなのでオープン当事は大変でした。
それでも一生懸命映画の素晴らしさを訴え続けました。
だんだんと映画のファンが増えてきました。
また意外にも市外や県外からのお客様も来てくれるようになりました。

会館以来、小学校や中学校の学校映画鑑賞会もずっと続いています。
そのたびに映画館で映画を観る事の素晴らしさを子供たちに話します。
目を輝かし話しを聞いてくれる姿には感動します。
映画監督を招いての舞台挨拶も魅力的です。
河瀬直美監督、若松孝二監督、坂本順治監督、畑中監督、想田監督、アルベローラ監督、
坂田雅子監督、小林茂監督、五藤正弘監督、中野量太監督、赤崎正和監督、時田監督など、
まだ大勢の方がいらっしゃいました。

とにかく映画ファンと、シネパラファンに支えられた7年間でした。
ロビーでお客様とお話しすることが大好きです。
観終わって感想を伝える方とこれから観る方が混じり
聞く話が宝物です。
心よりお礼を申しあげます。

今年の映画の話は次回にします。
本年もなにとぞよろしくお願いいたします。
館長

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2014年11月01日

全国コミュニティシネマ会議

「全国コミュニティシネマ会議」が、
東京国立近代美術館フィルムセンターで行なわれ、
数年ぶりに参加しました。
全国のミニシアター館の経営者やスタッフを始め上映会や映画祭の運営者、
また配給会社など色々な立場の人が多く集まりました。

始めに、女優の香川京子さんのトークショーがありました。
香川京子と言えば小津安二郎「東京物語」、溝口健二「近松物語」
黒沢明「どん底」など多くの名作に出演しています。
自分の映画を映画館で上映された時の思い出や、
映画製作の中での思いなどを淡々と語っていました。
さすが大女優、凜とした中に強いオーラを放っていました。

パネルディスカッションでは、映画監督・上映者・アートマネージメントの
専門家などが、望まれる映画振興策について熱く語りました。
その中でひときわ異彩放っていたのは吉田大八監督。
昨年「桐島、部活やめるってよ」で、日本アカデミー賞最優秀作品賞、
最優秀監督賞など賞を総なめした監督です。
それ以前には「パーマネント野ばら」「クヒオ大佐」
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の話題作を生み出している監督。
朴訥とした語り口の中に映画に対する情熱が見られました。
11月「紙の月」公開予定しています。

映画上映と解説には、「MoMAニューヨーク近代美術館sがコレクション」
の中から3作品を鑑賞しました。本当に楽しめました。
そして、コミュニティシネマ4館より事例発表。

最後はレセプションで、ワイン片手に色々な方と交流することが出来ました。
特上な一日となりました。

館長

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2014年09月15日

「アナと雪の女王」

ついに当館で上映が始まりました。
世界中で大ヒットの話題のディズニーのミュージカル作品です。

公開直後には他館に観に行きましたが、
アニメにこんなに酔いしれたのは初めてでした。
対照的な姉妹がダブルヒロインに、ドラマティックなストーリー。
日本語吹き替えも凄い、姉エルサに松たか子、妹アナに神田沙也加、
夏に憧れる雪だるまオラフ役にピエール滝。

そしてこの映画の魅力を圧倒しているのが、楽曲の素晴らしさです。
「let It Go〜ありのままに〜」は大ヒット曲となりました。
都内の映画館では、観客が一緒に歌うイベントが行なわれとニュースが流れました。

ストーリーは、
幼いときから大の仲良しだったエルサとアナはいつも一緒。
ところがエルサには触れた物を凍らせるという魔力を持っていた。
二人は引き裂かれ別々に育てられた。
やがてエルサは戴冠式の日に、国のすべてを凍らせてしまう。
そして、雪山の奥の城に籠もってしまう・・・。
その後は、ご自身で見て楽しんで下さい。

子供はもちろん大人もシニアも、誰でも楽しめる今年一番の映画です。
ぜひシネパラのスクリーンと音響で味わって下さい。


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2014年08月23日

「ぼくたちの家族」

「舟を編む」で昨年の映画賞を総なめにした石井裕也監督待望の新作だ。
テーマは「家族」。
内容は重いが、心にひたひたと迫ってくる感じの映画である。。

最近の言動がおかしい母(原田美枝子)。
病院に連れて行くと、重い脳腫瘍で余命7日間と宣告される。
取り乱す父(長塚京三)と、立ち尽くす長男浩介(妻夫木聡)。
呆然とする次男俊平(池松壮亮)。
そして、それは医療費の支払いにも関わってくる。
父は借金だらけで母はカード地獄だった。
次男は冷静だが気楽な大学生、
そして頼りは、一流企業に勤める長男の身に集まる。
浩介は、若い頃引きこもりの経験を持つ繊細な性格だが、
もうすぐ生まれてくる子供のことや妻の手前もあり、
次第にいらついていく。

家族の崩壊である。
そんな中でも、母だけは時々薄れる記憶の中でも笑顔である。
病院の待合室で放つ母の本音の言葉に、みんながハッとさせられる。
そしてバラバラだった家族が、母を救うために奇跡を信じて全力で動き出す。

困難なことがあった時こそ、家族が結束し再生していくのだと思う。
それにしても母役の原田美枝子の可愛らしさが際立つ。
その姿が救いである。
それにしても石井裕也監督は凄い!


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2014年07月08日

ご無沙汰でした!

慢性的な忙しさがずっと続き、
すっかり筆無精になってしまいました。
そんな中でも映画だけは観ていました。
という事で気を取り直してぺン(?)を取ります。

最近観た中から「キューティー&ボクサー」。
ニューヨークで活躍する現代アーティスト、
篠原有司男(通称ギュウチャン)と乃り子夫妻の
波乱に満ちた40年間を追ったドキュメンタリー作品です。

ボクシングアートで有名な夫、
アシスタントとして彼を支える画学生であった妻の日常を描く。
料理をつくり、食事をし、作品作る。いつも二人は一緒だ。
そこには、英語混じりの日本語、日本語混じりの英語の饒舌な会話が流れる。
作品や考え方への意見がぶつかる。
家賃が払えないとこぼす妻、作品を売ってお金を稼ごうと前向きな夫。
あるとき妻も創作意欲が湧き、その後夫婦での展示会を開く。
時に、夫81歳、妻59歳。
仲良しの友人に恵まれ、貧しいが決して依存せず、
創作へチャレンジしていく姿勢、
ふたりの魅力と生き方に脱帽しました。

芸術的なエンディングのシーンをぜひお楽しみ下さい。
2014年アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート作品です。
監督はアメリカ人のザッカリー・ハインザーリング。



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2014年04月19日

大ヒット「夢は牛のお医者さん」

「夢は牛のお医者さん」が絶好調です。
3月29日に4館同時公開しましたが、
今だ勢いが止っていません。
全国での公開が続々と決まっているとのことですが、
現在公開館は当館だけということで
遠方からの問い合わせも多く来ています。

今日は特別イベントがありました。
映画のオリジナルサウンドトラックを担当した、
フルート奏者本宮宏美さんとギターとベースのトリオによるミニコンサートです。
すっかり耳に馴染みとなった曲を演奏していただきました。
優しく時には力強いフルートの音色が会場を包み込みました。
知美さんのお父さんも観客として顔を見せました。

休館日を活用し市内の小中学校が団体鑑賞を実施しています。
この映画を通して、子供たちに夢を持ち夢を追いかけ続けることの大切さが
伝われば最高ですね。
映画は未来への投資とも言えます。
これこそ映画館冥利に尽きます。
主人公の知美さん一家と製作のTeNYさんに敬意と感謝を申し上げます。

全市民に観ていただきたい作品です。



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2014年03月21日

映画を語る

今年の冬は積雪量はいつもより少ないのですが、
朝晩と言わず日中でも冷え込みが厳しい日が続きました。
色々な出来事が続き更新が遅れましたので、まとめて感想を綴ります。

2月作品ではインド映画「マッキー」が楽しめました。
殺されてハエに生まれ変わった主人公が、
恋人を守るためとことん戦うというあり得ない想定ですが、
マッキーの必死さが胸を打つラブストーリーです。
ちなみにタイトルの「マッキー」は「ハエ」という意味です。

「恋する輪廻」インド映画の定番と言ってもいい映画です。
駆け出しのエキストラ俳優が密かに愛する人気女優人を殺され、
困難の中であらゆる方法を使って復讐する物語である。
物語はロマンティクサスベンスであるが、
劇中に歌あり踊りありでとにかく楽しめる作品。
インド映画の神髄を体験できます。

「利休にたずねよ」市川海老蔵の当たり役である。
モントリオール世界映画祭最優秀芸術貢献賞受賞、
直木賞受賞した山本兼一の同名原作による。
茶人として織田信長に仕え、その後豊臣秀吉にも一目置かれる。
その後あまりの影響力を恐れて秀吉がとった行動は・・・。
海老蔵は、徹底的に静の利休を抑えて演じ、
若いときの利休は情熱がほとばしる様に演じている。
私生活の乱れからあまり好きでなかった海老蔵だったが、この作品で見直した。

「もうひとりの息子」は、東京国際映画祭グランプリと監督賞を受賞した秀逸作品です。
イスラエルで暮らすフランス系ユダヤ人家族の息子は、兵役のための健康診断で、
医師の母親は息子と血が繋がっていないことを知る。病院のミスであった。
しかも取り違えた相手はパレスチナ人家族の息子であった。
そこでお互い相容れない国、アイディンティティや宗教が違う国の子供取り違えは、
本人と両親、そして兄弟姉妹にまで深い苦悩をもたらした。
深刻なテーマ出会ったが、人として、家族として、血の繋がりなど考えさせる。
両親のため息が聞こえてくるような映画であったが、
かすかに未来も見えてくるものであった。
島国に住む私たちは、ともすると単一的な考え方に陥りやすいが、
この映画から学ぶことがあるのではないかと感じました。



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2014年02月14日

「夢は牛のお医者さん」完成披露試写会

昭和62年、十日町市、旧松代町旧莇平(あざみひら)小学校。
たった9人の子供たちの小学校に3頭の子牛が入学した。
子供たちは片時も離れず子牛の世話をした。
中でも一番一生懸命だったのが知美さん。
牛は成長が早い。400sになったら出荷する約束だ。
牛の卒義様式の場面で知美さんは溢れる涙を流し続けた。

その時の夢は「牛のお医者さん」だった。
それから獣医を目指し猛烈に勉強をする。
家族も協力する。
おばあちゃん存在も心の支えであった。

TeNYの報道担当だった時田氏が26年間追い続けた渾身のドキュメンタリーだ。
今回はTenytが初の製作し映画として世に出した。

当日はご本人一家も来館され完成したばかりの映画をみて、
舞台でコメントされていたが、制作側もご家族も感無量で会ったであろう。

感動しました。

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2014年02月11日

冬は映画漬け

久しぶりの投稿です。
豪雪地帯の当地は1メートルの雪には全く驚きませんし、
いつも通りの日常生活が流れてゆきます。
今年は積雪が少なくて除雪業者は困っています。

という事で今年も映画三昧の日々を送りたいと思っています。
といってもこれも仕事ですが・・・。

最近当館での上映映画を一挙に感想などのコメントをします。
新春早々には「清洲会議」を。
三谷幸喜にしてはコメディー色を消し豪華俳優を散りばめた時代劇。
戦いをしないで会議で信長の後継者を決めるという物語だが、
クスッと笑わせる場面が随所にあり結局大笑いした。

「25年目の弦楽四重奏」
結成25年コンサートに向けて、全7楽章を途切れることなく演奏する難曲
"ベートーヴェンの弦楽四重奏14番"に取り組むことになった。
途切れることのない演奏とはチューニングしない、そのためだんだん狂っていく。
映画では、その狂いが音楽だけではなく人生まで狂わせることになる事を示唆している。
始終流れるベートーヴェンの旋律が、
シネパラの最高の音響で堪能出来た作品であった。

「ジ、エクストリーム、スキヤキ」
井浦新と荻塚洋輔、市川実日子が、15年ぶりに再会で奇妙な旅に出る。
そのまったりとしたゆったり感と、
歯がゆいほどセリフのない場面を前田司郎監督が演出する。
その空気感、好きかも知れない。

「スタンリーのお弁当箱」
インド映画特集の中の1作目。
インドの教育、そして暮らしと経済事情がわかる映画である。
学校で給食を持って来れないスタンリーのために友達が分けてくれるのに、
そのお弁当をつまみ食いと言うより搾取する教師がいることに驚いた。
一番見ていて厭きないのは、器用に右手で食事をする場面だ。
何回も出てくるが左利きのスタンリーは右手で字を書くように教師に強制される。
メチャクチャ明るく少し胸の痛む、おいしそうな映画だ。

「もらとりあむタマ子」
なんと前田敦子が、就職もせず、父親が作ってくれる料理を文句をたらたら食べ、
ぐうたらに過ごすという娘役を見事演じた。
見ている内にタマ子をガンバレと応援していた。そんな気にさせる映画だった。
キネマ旬報ベストテンにランクインした作品。

また、次に投稿します。

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2013年11月10日

「風立ちぬ」

ついに宮崎駿監督の引退作品「風立ちぬ」の上映が始まり、
さっそく観ました!
宮崎駿が作品を通して伝えたいことが、伝わって来ました。
しかし、観る人や見方によって相違があるのかも知れません。

"美しい飛行機"を作りたいという飛行機設計家堀越二郎は夢を実現できたが、
結果は彼を落胆させるものとなった。
また一方では菜穂子との純愛物語としても描かれており
作家堀辰雄の世界観も表現している。

この作品を観ているとアニメという事を忘れてしまう。
宮崎監督はこの映画にアニメでなく、あえてマンガという言葉を使っているが。
印象に残ったのは大正の関東大震災の中逃げ惑う人々や、
昭和初期の町並みや精緻な背景など、
すべて実写の様な出来映えが凄い。
人物が登場するととたんにマンガになる。
マンガなんだと言い聞かせないと切り替えが出来ないほど見事である。

やがて"美しい飛行機"は零戦として使われ片道燃料だけで飛ばされる。
堀越二郎の無念な思いを見事描いている。

「風立ちぬは」今の日本人に何かを語ってくれてます。
この映画がなぜヒットしてるのかもうなづけます。
ぜひご覧ください。


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2013年10月27日

「ローマでアモーレ」

ウッディ・アレン監督の最新作「ローマでアモーレ」は、
腹の底から笑いがこみ上げて来る映画。
ローマが舞台の4組のカップルの物語だか、
一癖も二癖もある仕掛けが面白くで厭きさせない。

元オペラ演出家(アレン監督)がローマに住む娘の婚約者の元へ
アメリカから飛んでくる。
そして葬儀屋の父親のテノールを聞き、舞台に引っ張り出す。
このエピソードには爆笑してしまう。

とにかくすべて、ローマを舞台に楽しめる映画です。
役者もすごいです。
「ライフ・イズ・ビューティフル」のロベルト・ベニーニ、
スペイン人アカデミー女優ペネロぺ・クルス、
アレン作品でおなじみジュディ・ディヴィス、
「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ、
葬儀屋にはファビオ・アルミリアート(オペラ歌手)がテノールで盛り上げた。

考えられない波乱が起き、そして収まる。
コメディって凄いって思いました。

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2013年10月14日

「天のしずく〜辰巳芳子いのちのスープ」

辰巳芳子はただの料理研究家ではない。
哲学者のような切り口と表現力で、素材や料理や生き方を語る辰巳芳子に
初めから終わりまで観る者を引きつけられる。

辰巳芳子は、鎌倉の家の庭で摘んだ野菜や葉物や果実を丹精込めて仕上げる。
中でもスープには、時間をかけ心を砕き静寂の中で作り上げる。
これを『いのちのスープ』という。

一般の人を始め、終末医療に関わる医師や看護師など、多くの人が鎌倉のスープ教室を訪れる。
このスープを口にすると、誰でもこれを深く味わい心安らかな表情になる。
そして、ハンセン病で子供の頃から長島で療養生活を送る
宮崎さんとの出会いには心を打たれる。

今、自分が生かされていることの意味まで感じさせてくれる映画である。

この映画のパンフレットには、
スープのほか心に残る料理のレシピが付いているのが嬉しい。

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2013年10月13日

「少年H」

この映画はグラフィックデザイナーでありイラストレーターで著名な、
妹尾河童(せのおかっぱ)の同名の自叙伝が原作である。

神戸に住む肇ことHは洋服店を営む父と愛情溢れる母、
そして妹の好子の4人で幸せに暮らしていた。
しかし、戦争の足音と共にその暮らしが崩れていく。
父は外国人から洋服の仕立ての注文を受けているという事と、
クリスチャンという事でスパイ容疑で捕まる。
ひどい拷問を受けて帰って来た父は心を無くしたように人柄が変わる。

中学校では勉強の代わりに厳しい軍事教練の毎日。
Hはどこに正義を見出せばいいのか分らなくなりだんだん不満が募っていく。
そして神戸での空襲で町や家、そしてミシン、すべて失ってしまう。
戦争が家族のささやかな幸せを奪っていくことに、
耐えられなくなり、やがて怒りに変わっていく・・・。

戦争に翻弄されながらも、信念や愛情を持っていき抜いた家族の物語である。
水谷豊と伊藤欄夫婦が実際の夫婦を初めて演じているのも、配役の妙であった。
そして何と言っても、
主人公Hを演じた吉岡竜輝くんの体当たりの演技に心を打たれた。

「いったい戦争とは何のために?」と問いかけてくる映画だった。
本当に「なぜ?」って問い続けたいと思っている。





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2013年09月29日

「よみがえりのレシピ」渡辺監督舞台挨拶

まず、渡辺監督の若さに驚きました。
映画のテーマが意味深いものだったので35歳の若者が・・・、と思いました。

「在来作物」とは、何百年の時を超え守られてきた
「生きた文化財」といえるものだとのこと。
「自家採取」で種を受け継いで行くが、今では数え切れない程の品目が消失している。
それらを守り育てている生産者を追ったドキュメンタリー作品である。

在来作物を守るためには消費者の意識を変えることが必要なことに気づかされる。
収穫量が少なく病気にも弱い品種は栽培者も減らしてきた。
私たちは、大量生産、大量消費の生産方法で作られた、
いわゆる野菜工場の野菜を選んでいないか問われた作品ではないかと、
思い知らされました。

山形のレストラン「アル・ケッチャーノ」の奥田シェフは、
「在来野菜」にこだわった食材を独自の調理法で提供する。
あるおばあちゃんが苦労して作ったカブを抜きながら、
「求められる作物、喜ばれる作物を作っていて本当に幸せだ」
と嬉しそうに語っていたのがとても印象に残った。

その後は「妻有の地場作物を楽しむ会」実行委員会主催のイベントが
会場を移して行なわれました。
1部は渡辺監督と野菜ソムリエの木村さん、地元有機栽培生産者の山岸さんの
トークセッションが開催されました。
2部は十日町産食材を使用しての交流会で、
すっかり満足した一日となりました。



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2013年08月18日

「旅立ちの島唄〜十五の春〜」

沖縄本島から360q離れた離島、南大東島には高校がなく、
中学を卒業する15歳には誰もが島を離れる。
そんな島に住む少女優奈(三吉彩花)と家族の物語だ。
父(小林薫)はさとうきび農家をしており、
母(大竹しのぶ)や兄は那覇で別々に暮らしている。
そこへ姉が姪を連れて実家に帰ってきた。

毎日家族の寡黙な食卓風景が続く。
3年になった優奈は進路に悩みながらも、
好きな別の島の男子に思いを寄せ、
学校帰りには民謡教室に通い腕を上げる。

卒業時の舞台では、決して涙を見せず最後まで歌いわなければならない、
という教えがある。
進路先も決まり卒業の時。
優奈は三線を弾きながら澄んだ声で島唄を歌い父と母に感謝の思いを伝える。
散らばったカケラが繋がった瞬間だ。
(三吉本人が弾いて歌っているというのには驚きました)

三線と島唄の響きが、島影に、夕日で染まる海に、そして私たちにも染み渡ってきた。
島の十五の春の宿命を前向きに受け止める子供たちと、
不器用にも前向きに送り出す家族の旅立ちの物語だ。

ぜひ親子で観て欲しい映画です。


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2013年08月11日

「チチを撮りに」舞台挨拶が凄かった!

※更新が遅くなってすみません!!!

7月末「チチを撮りに」の上映が始まりました。
初日舞台挨拶には中野量太監督と主演の柳英里紗さんが駆けつけてくれました。
そして本当に多くのお客様から来ていただきました。
場内は補助イスを並べるという開館時以来の立ち見状態となりました。

これはすべて十日町に住む柳英里紗さんのおばあさまの熱意に
みんなが揺り動かされ実現したものだからです。
この作品がベルリン国際映画祭にジェネレーション部門正式招待作品として、
上映されたことが報道されたことから、それ以来熱心のオファーがありました。

中野監督と柳英里紗さんをご一緒にお迎えしようと準備が始まりました。
開始日が決まらずおばあさまをずいぶん心配させてしまいましたが、
決定してからは町中にPRして駆け巡っていた様です。
これらのパワーには敬服しました。

フリーターの姉葉月(柳英里紗)と高校生の妹呼春(松原菜野花)と、
母(渡辺真起子)の3人暮らし。
父は14年前に女性を作って家を出て行った。
ある日母から、「お父さんがもうすぐ死にそうだから会いに行って、
その顔を写真に撮って来て欲しい」と頼まれる。
そこから姉妹の道中のやりとりが始まるがその下りがとても面白く描かれています。

舞台挨拶ではプレゼントタイムがあり、次から次と花束などが贈られる。
そしてなんと、7月27日は中野監督の40歳の誕生日でした。
花束と、ハースデイケーキが。
会場のお客様全員による「ハッピー・バースディ・トゥー・ユー♪」でお祝いしました。
中野監督は感激していました。

英里紗さんも、おばあちゃんから花束を受け取り、
感動の面持ちで十日町のことや映画のことを熱く語ってくれました。
英里紗さんはとても才能のある役者さんです。
これからも更に活躍されることを楽しみにしています。
映画館主として、また市民の一人としてもずっと応援します。

ありがとうございました。お疲れさまでした。

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posted by シネパラ at 23:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 館長 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月04日

「舟を編む」

2012年本屋大賞第1位の三浦しをん原作の作品です。
監督は石井裕也「川の底からこんにちは」で強烈な作品を生み出した。
「舟を編む」は辞書を編纂するために
気の遠くなるような作業を10数年も続ける人たちの物語である。

主演は馬締光也に松田龍平、その妻料理人林香具矢に宮崎あおい。
オダギリジョー、渡辺美佐子、小林薫、加藤剛、伊佐山ひろ子などの芸達者が脇を固める。

定年を数年後に迎える荒木は、馬締を見つける。
その時の質問が「右」を説明せよという難問。
それに対して馬締は「西を向いたとき北に当たるほうが右」と答え、納得させる。

馬締は古文のラブレターを香具矢に渡して求愛、やがてふたりは結婚する。
二人の中を取り持ったのは、トラ猫の「トラさん」。
猫好きとしてはたまりません。

馬締の頭の中はいつも言葉で溢れている。
辞書は、あらゆる言葉の中から必要な物を選定してゆく。
時には流行語や若者言葉も「用例採取」する。

やがて辞書が完成するが、その喜びはとうてい想像出来ないくらいだろう。

分らない言葉があるとすぐネットで検索するが、
今度からは辞書を引きたくなった。
辞書編纂の方々に心から敬意を表します。

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posted by シネパラ at 22:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 館長 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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